12.23.13 石井文得
冬至もすぎて、もうすぐクリスマス。
この時期、YokoとJohnのWar Is Overって、クリスマスを利用した反戦メッセージソングが、いろいろなところで流れている。
でもまだ今日も、この地球上で戦争は続いている。
「特にこの時代、ものを作る者はしっかりメッセージを持って作らないといけない。」
優しいトーンで、でも厳しい瞳で、尊敬するFoilの竹井社長が数年前に語った。
撮りたいから撮った、 だけではない。写真を撮り始めて、もう、十何年も経っているけれど、
このごろ、それがやっと言葉にできるような気がする。
私のメッセージは、、、。
平和!
平和のために自分ができること。
その一つが、この土地で、農業を始めること。
ハドソンの辺りでは、この数年で、若いファーマーがどんどん増えている。
これも、
「ハドソンが熱い!」
と同様に良く耳にしたフレーズ、
「農業がヒップだ!」
を証明するように、周りでも、数年前には一緒に遊んでいた子達が、NYを離れ、農業を始める傾向。(と、勝手に聞きたいことだけを耳にする傾向)
引っ越してからすぐに、友人の伝で、私もHudsonにあるオーガニックファームLineage Farmでの手伝い先を紹介してもらった。彼らはその友人の経営する、ローカルで旬の食材だけをメニューに出しているブルックリンのレストランにも野菜を販売している。
農業に興味を持ち始めたのは、2008年辺りから。
ちょうどその友人が、野菜を仕入れている別のオーガニックファームに連れて行ってくれたのがきっかけ。
オーナーのトビーはマンハッタンローアーイーストサイド出身の、メタルアーティスト兼ファーマー。若い頃、10年以上もRichard Serraのアシスタントをしていた。そして、パートナーのパワフルな女性マダリンもブルックリンからアップステートに引っ越して、農業を始めた。彼女は ハーフコリアンで、彼女のつけるキムチはとっても美味しい。
一年に1週間程度の都会を離れたファームステイ。
それをこの何年か毎年繰り返した。そうしているうちに、ブルックリンに戻ってからも、彼らの農場から新鮮な食材をCSA*で調達するのが習慣になった。
CSAとは、Community Supported Agricultureの略。
近郊の農家から、そのシーズン期間(この辺では5月から11月くらいまで)、新鮮で旬の野菜を直接毎週デリバリーしてもらうという、ファーマーと消費者の間の信頼関係のうえで成り立つ契約。
これによってファーマーは、シーズンの始めに消費者から一括で支払われたお金で、よりスムーズにベストの農産物を作る準備をすることができる。
そして消費者の特権は、新鮮取れ立の栄養価の高い野菜を手に入れるだけではなく、その品が、どこからきて、どのような人々が育てているか、農家にも足を運び、実際、個人的な関係をファーマーと築き上げることもできる。
なので、CSAを行うファーマー達は、シーズンを通して消費者が喜ぶよう、数十種類もの野菜を育る。
やはり、とれたての野菜は、オーガニックとラベルの貼られた、遠くから来る野菜たちとは全然違う。
食べ物の話題になると、私はとても真剣になる。
(多くの人がそうであるように)食べることが好きだから、というのと、 生きるために不可欠な、毎日のタスク、食、そこにジャスティスを追求し始めたから。
この7、8年の間、幾人かの 健康に気を使う素晴らしい友人達の影響で、この、食と健康の関係について、真剣に考え取り組むようになった。
日本では内部被爆問題。(それはアメリカの西海岸にも広がり、東側でも、魚屋の店頭に並ぶ種類が変わった)
アメリカでは、モンサントの遺伝子組み換え問題。
などなど。
ポリティカル以前の、モラルの問題。
実際自分の口にするものが、どういう過程で育てられ、調理され、体内に取り込まれるのだろう。
小学校一年生くらいのとき、近所の公園で遊んでいると、高学年のお兄さんが 得意気に話しているのを耳にした。
「味の素食べ過ぎると、蛾になるんだよ。」
え!!! 人間が蛾になる?!
味の素をお皿の上にのせ、じーっと見ながら、 この粉にそんな魔術的パワーがあるなんて。誰にも言えずに、ずっと考えた。
蛾ではなく、癌の聞き間違いだったらしいって気付いたのは、もう少し時間が経ってから。
実際、味の素は、何なのだ。
味の素のウェッブサイトでも、いろいろな説明や情報が出ているけれど、何が真実なんだろう。アメリカではMSG(モノソディウムグルタメイト)と呼ばれ、知り合いでも、MSGがはいっている食品を食べると、すぐに頭痛が起こるという人が多い。
私もできるだけ控えている。日本の製品は、ほとんどにアミノ酸が入っているので、必ずラベルをチェックしてから、たいていの商品は棚に戻す。
でも、日本で過ごす時は、アミノ酸を避けずにはいられないので、ある程度は降伏するしかない。
なぜこんなにもアミノ酸に征服されているのだろう。
アメリカのMSGのもとsugar beetsは、モンサントが90%もコントロールしているので、それだけでも避けるべき理由がある。
小さい頃からみんなの食欲をアップすることでも有名だった、食いしん坊の私。妹も含め、家族全員に食事を作ってもらって、ほぼ料理をせずに成人になった、渡米前の私。
そんな私でも、こう一から、化学調味料を一切使わず、いろいろと作るようになった。
心と体の調和=健康。
(精神と肉体、両者のバランスと平和)
健康第一。
自分の中からの革命。
それが、まずは、自分でできること。
そして、大切な家族、恋人、友人たちも、健康であってほしい。
そして、街ですれ違う人も、新聞に出ている人も、インドのファーマー達も、健康であってほしい。
そして、自分が食べることになる、魚や牛たちも。
食べることがなくても、この生態系を保っている、それぞれの生き物達も。
念願のパートタイムファーマー正式デビュー。
マシーンや殺虫剤に頼らず、栄養価の高い最高の野菜を作るということ。
写真をとることばかり考えていた頃に、ふと思ったのでした。
カメラが媒体となっているのもいいけれど、いつか自分の手で、何か直接作りたい。
(それは、絵が描けるようになりたいとか、自分で家具を作れるようになりたいとか、自分では目指していたのだけれど)
この秋、何時間もかけて雑草取りに耽りながら、土まみれのかちかちになってた指を見て、思いました。
あぁ、これが、この数年夢見ていたことなんだ。と。
ファームステイの始まりトビーとマダリンのcatskillのファーム
http://straightoutoftheground.org/
そして、今年お世話になったジェンとジョンのLineage Farmについては、次回書きたいと思います。