ハドソン通信 8

6.28.14 石井文得

隣の通りでバンビと共存

隣の通りでバンビと共存

後数日で、誕生日を迎える。
ということは、ハドソンに引っ越してからちょうど1年をマークする。

繰り返しおこる生活。毎日同じ道を通って、同じ橋を渡って、同じ仕事をする。
私は何がしたいのだろう。
写真家であり続けたいという夢があっても、おもちゃのロボットが壁にぶつかり、それでも機械的に繰り返し前進しようとする生活。それが、ハドソンに引っ越す前のブルックリンでの数年の状況だったような気がする。

今となっては遠い世界であり過去のような。
それでも、ふと自転車をこぎながら橋から見上げたニューヨークの夜景が懐くなる。

友達のシャツを汚してしまったらしく、川で洗濯をする少年。

友達のシャツを汚してしまったらしく、川で洗濯をする少年。

この心地よい我が家の生活も残り二ヶ月間にして、私たちは荷物を倉庫に預け、Ashevilleというサウスカロライナ州の町で開催されるフェスティバルを皮切りに、アメリカ横断ツアーに出ることにした。やっと慣れたこの町にもしばらくは戻る予定もなく、”家”もなくなる。

このハドソンの黄金の夕焼け、紫色に染まった山たち、透き通る空気に、水上に舞う優雅な鳥達のシルエット。また懐かしくなるのだろう、この景色達。今のうちに、夕焼け時間には出来るだけ川まで散歩に出るようにする。

私たちのバンドは今月初頭のニューイングランド/モントリオールツアーで、無事16回のコンサートを終え、その後パートナーの彼はヨーロッパツアーへ、その間私は、写真を撮ったり、朝5時に起きて畑仕事にでたり、ニュース番組の翻訳をボランティアを週一回したり、あとはギターで曲を書くようになった。

まるでこの体の中が、4階建ての家のようになった感じだ。
写真、翻訳、音楽、農作業
実際家の中にいても、一つのことをやっては、次のことに違う部屋で取りかかる。
大都会で知らずに緊張しながら暮らしていた神経とはまたひと味違う、マルチプルな層のこの田舎生活。

夏となれば、川や池でスイミング。初泳ぎ。水は凍るように冷たく、ワンディップで上がってしまったけれど、気分も体も爽快

夏となれば、川や池でスイミング。初泳ぎ。水は凍るように冷たく、ワンディップで上がってしまったけれど、気分も体も爽快

そしてツアーに出れば、浦島太郎のようにまるで何年もの間旅を続けている気持ちになる。

昔は、コンサートに行く前はそのバンドのレコードを聴いて、準備をしてから、自分の知っている曲を聴くためにライブに行くことが殆どだった。最近は、あまり予習をせず、まるで赤ちゃんが初めてのことを全身で経験するように、その場で体験を、耳と心を大きく開いてライブ演奏を楽しむようにしている。

限られた空間と時間で一体となることが、ライブの素晴らしい体験だと思う。

だから、以前よりも、写真やビデオで記録することも少なくなった。

記録よりも体験、が、私のこの数年の間での、大切なテーマになっていたと思う。
この時期を経てから、写真も違った角度で撮れるようになってきたのではないだろうか。

モントリオールのホテルにて久しぶりに見るテレビ。

モントリオールのホテルにて久しぶりに見るテレビ。

今回のハドソン通信は、そんなツアーや、私が参加する前の彼のコンサートを通して、直接体験し出会った素晴らしい影響を与えてくれたミュージシャンの人々を紹介したいと思う。

まずは、コロラド出身でスペイン在住のJosephine Foster

写真は彼女のサイトのプレスフォトより。旦那さんの天才ギター弾きのビクターと。

写真は彼女のサイトのプレスより。旦那さんの天才ギター弾きのビクターと。

ハドソンの本屋/バー/画材屋でもあるSpotty Dogで行われたコンサートに初めて出向いたときには、オペラ歌手/指導者でもあった彼女独特の歌い方、ギターの演奏に、身も心もしなやかになった。演奏後、マッサージの施術後のようなリラックス感が体中に漂った。

ポップスターのように無理していろんな音域を出すのではなく、自分の歌いやすい音域で力を入れずに楽しく歌えば良い。私は次の日から、彼女のお陰で、歌い始めた。

二人目は、Angel Olsen

私が親愛する大好きなミュージシャン/アーティストWill Oldhamと一緒に歌っていた、歌唱力抜群の彼女のソロプロジェクト。
ハドソンでのコンサートも行い、新しく出たアルバムのカセット版のカバーは、D先生が手がけた。
このアルバム、全ての曲がいい。このカセットは何度も繰り返し聞いている。


フォトジェニックな彼女。ぜひ、ポートレートを撮らせてもらいたい。

三人目はニューハンプシャーベースの大工/石工のAsa Irons

数年前のライブで見た彼は、まさにストイックな石工のイメージ。ところが演奏を始めるとアイリッシュのフォークソングが混じる可憐なメロディー、繊細なソングライティング、歌声、寸分も無駄のない、美しい時が流れた。

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オンラインでも彼のアルバムが聴けるが、ぜひレコードで聞いてほしい。私も先日、取り寄せた。
http://asairons.bandcamp.com/

ニューヨークからはEndless Boggie

Gottenburg, Swedenの永遠にロックアウトし続けるコンサートにて

Gottenburg, Swedenの永遠にロックアウトし続けるコンサートにて

Stephen Malkmus & The Jicksとも去年ツアーをして、正真正銘のこの時代ベストなロックンロールに胸がときめく。

そして最後は、Woods

レコードも良いし、ライブは更に良い!演奏もとってもうまい!
woods
ジャーミーの歌声は、ニールヤングをさらにうまくした感じ。

この曲大好きで、同じ道を自転車で走るとき聞いたなぁ。
今となれば、そんな同じ道も、通らずにはいられなかった道。

インターネットのせいで、レコードが売れなくなった時代。でも、インターネットだから今まで聞くことの出来なかった音楽にも廻り遭える時代。
ミュージシャンは日々、こつこつ自分たちの表現を求め、あちらこちらを飛び回って、音楽を通してコミュニケーションをする。

ぜひ余裕があったら、彼らのレコードも買ってください!

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