プロビデンス通信 1

7.21.14 森咲子
はじめまして

アメリカ最小の州ロードアイランドの州都、プロビデンスからの特派員としてomnipresent journalに仲間入りさせてもらうことになりました。

ここに住んでかれこれ9年近くなります。
小さい町だからできることもあれば、小さい町特有の難点もあり。両方を日々オセロのように感じながらいつまでたってもこの土地、ここに住む人間達と暮らしに惹かれ続けてるようです。自分の近視眼的観点と生活、それからアメリカでの暮らしを日本語で、こうしてインターネットを使い世界へ向かって発信したら何がどうなるのか(または何もどうもならないのか?)予想がつかないけど、シェアするというところに明るさを感じます。

どうぞよろしく!!

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初回のテーマとしてふさわしいのか疑問ですが、最近よく考える、ストレス&自由についてまず書きました。

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プロビデンス通信1

今年の冬は、ほんとに厳しかった。

とにかく寒くて、全体的にグレーで、雪もいっぱい降った。だんだん元気をなくし気づいたら
すっかり落ち込んでる、そういう状態が周りに蔓延したし、自分が落ち込んでることに長い間
気づかないことが多いのも厄介だった。

外には出るし人にも会うし、遊んだりもするけど感覚としてはずっと内に閉じこもってる。
3月後半頃になりトンネルの終わりが見えてきた頃(この地域は4月おわりごろまできっちりと
寒い)やっと、みんなが自分の穴蔵から顔を出してきて「この冬、ほんときつかったよね」と
頷き合えるようになった。

この冬、思えば自分にも色々あった。仕事場のごたごたが最高潮でボスといっぱい喧嘩したし、
友人の死、車の故障つづき、グリーンカードの手続き、それでもってストレスと寒さで腰痛が
悪化し起き上がれなくなった。びっくりした。

仕事場のピアノ技術者Georgeが、とにかく泳ぐといいよ、それが一番効くからと教えてくれた。
今まで放ったらかしてた分こうなったら集中してケアすることにして、YMCAの登録手続きに行き、泳ぎ始めた。そしたらいきなり体も心も軽くなった。腰の痛みはまだまだあるけど緊急事態は脱出できたし、できるだけ仲良く付き合っていこうかな、と思える程度に。

泳ぐ度に体中が喜び、頭はからっぽになるのがよくわかって本当におもしろい。
毎日のようにブラジリアン柔術のクラスに行ってる友達は、ストレスを有効に発散できるのはエクササイズだけなんだって言ってた。私は、自分には音楽があるし、ストレスとは縁がないと無根拠で鷹をくくってた。

こうして冬の終わりと春にかけて、毎日泳いだ。何にむかってかよくわからないけど、とにかくありがたかった。

 プロビデンスでは貴重な、自転車乗りに寄り添った道路

プロビデンスでは貴重な、自転車乗りに寄り添った道路

夏が始まる頃、ジョーがプロビデンスに戻ってきた。ジョーは、ロードアイランド育ちのアーティストで、ニューイングランドの宝、私にとっても大事な友だ。数年前大学でアニメーションを教えるためプロビデンスからシカゴに移った。彼女がシカゴに引っ越す前の1年ぐらい一緒に住んで、私は彼女の素敵なアニメーションに音楽をつけたり、一緒に音楽やったり、家の中を改造したり、よく森や池に散歩に行ったりした。

ジョーは、シカゴに住んで2年目に膠原病のひとつであるlupus(ループス腎炎)の診断を受けた。
その頃には、大都市での暮らしが彼女には合わなくなってた。自己免疫疾患であるlupusの診断を
受けるまで1年以上、ジョーは原因不明の全身の痛み、疲れ、蕁麻疹、発熱、鬱などに悩まされた。
そして診断を受けてからは、完治はしないといわれるこのlupusについて自力で勉強し、毎日体調
の記録をつけ、伝統中国医学について学んだり、食生活を変えたりして日々向き合ってる。

すぐ疲れるので外にあまり出られない。気温が低すぎるところにいると、手や足の先が真っ白に
なる。直射日光にあたるとすぐ体調が悪くなる。いつ体調が変わるかわからない自分の体と、ジョーは新しく付き合い始めたのだ。その間、彼女からほとんど弱音を聞いた覚えがない。どれ
だけ心細かったのか、友達でもきっと想像に及ばない。

症状が少し安定してきた頃、彼女はバーモント州の大学で教える仕事を見つけ、ホームであるニューイングランドに戻ってきた。久しぶりに会ったジョーは鷹揚でさらに明るく優しくなってた。
とにかく海や自然が恋しくて、といって、いきなり中古のカヌーを手に入れ、一緒に近くの池に
試し乗りに行くことになった。

日中は暑すぎてジョーが外に出られないから、夕方6時ごろ出かけた。釣りする人、池を眺める人や
泳ぐ人達にまじって、おそるおそるカヌーを漕ぎ出すジョー。私は泳ぎながら、どんどん遠くへ行くカヌーを眺めた。しばらくしてジョーが戻ってきて、今度は私も乗せてもらって二人で漕ぎに出た。
静かな静かな水の上。日が沈み始めたから、カヌーを池の真ん中で止めて全部沈むまで見た。横を
見たら、同じことをしてるカップルがいて、手を振った。

満足して帰る途中「これで今ピザ食べに行けたら最高なんだけどなあ!」とジョーが言うので、最近グルテンフリーダイエットの彼女に、彼女が好きなピザ屋が最近グルテンフリーのピザも作ってることを教え、最高な日の仕上げにピザを食べに行った。そのグルテンフリーピザ、普通のピザよりおいしかった。

ジョーはlupusと真正面から向き合うことにより自分の生活のバランスを立て直し、"人生何がどう
なるかわからないんだから、心配するのはよして今できることとやりたいことをやる"という魔法を身につけた。そしてジョーのおかげであの日、あの夕日が見れたし、私はグルテンフリーピザの
おいしさも知った。

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海や池で少しでも泳ぐと、最高にリラックスする。こんなに自然の中で体が反応するのはこの夏が
初めてかもしれない。厳しかった冬、色んな重みをたくさん体にしょって毎日過ごしたら、体が軽い時の爽快感や自然の力がここまで身にしみるようになってた。こういう緩急を大小様々なスケールで繰り返していくうちに、どんどん色んな垢が落とされ自分の魂と仲良くなり、自由になっていくのかもな、というようなことをふと思った。

ジョーのエッセー&スライド(lupusについて、英語)

ジョーのウェブサイト

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