ポートランド通信 6

8.20.14  瀬高 早紀子

JULY.

Fourth of JULYから天国と化す。
ポートランドではそんなことばを時おり耳にする。そしてたいていの人がうんうん、と頷く。
一年の2/3以上が雨と曇天に覆われるポートランドでは、5月、6月に真夏日がふいに現れるが、まだ油断してはならない。薄手のセーターもしまえないし、バイクコミューターたちは雨がっぱを手放せない。
でも7月4日を過ぎると、どこからともなくゴーサインが聞こえる。この日から3ヶ月間、ほぼほぼ快晴。雨の降る回数は両手で、いや片手でおさまるほどか。そこは天気同様、人間たちにも極端な移行がおこり、多くの者が手ぶら、装着物もフリーに近くなる。街には小さなビキニを仕方なくあてているよう姿で自転車に乗るガールズ、海パンひとつで激走するボーイズ。そんな輩を見かけても驚かなくなっているのは私だけではないはずである。
3月くらいから幾度となく、ランニングシャツとメッシュTシャツでフライングしていた彼らは、もう体全身で夏をウェルカムしたいのだ。素肌で夏をキャッチして、もう手放したくないみたいだ。日焼けを恐れているのは、数少ないアジア人たち。わたしにはもう、SPFの数値は気休め。そばかすはチャームポイントよ、というおだて文句に、彼らみたいにためらいなく、のっとくしかない。

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クリスマスとサンクスギビングと並ぶほど、大きな祝日となる7月4日の独立記念日を前に、小さなよびかけがあった。街に数ある自転車優先道路のなかでも人気の通り。そこの31番に午後5時集合。ピンポイントなわりに、目的はあやふやなままそこに向かった。

フラッグを持って、キャンピングチェアを置いて、たった数メートルのその通りだけが駅伝の沿道みたいになっていた。彼らはみんな自転車通勤を基本としている者たち。午後5時の、帰宅ラッシュをねらって、自転車で家路につく人たちに向かって、声援を送る。31番なのは、ちょうどその1ブロック手前からゆるやかな上り坂が始まるから。みんなちょっと苦しい表情になって、おしりを上げてペダルに力をかけなければならなくなる。だからこそ、31番は絶好の沿道旗ふりスポットなのである。
過ぎ去っていく自転車乗りたちは一瞬、たじろいだような表情を見せつつもすぐにこぶしを振り上げたり、自転車から飛び降りて、そのまま声援を送る側に参加したり。たまらなく、くだらなくて、わたしはしびれてしまった。

ラッシュ後はこのくだらなくすばらしい会を主催したマイケルの家でビールとホットドッグで自己満足をねぎらいあう”チープ・シック”なBBQをさっくりとして解散。7時半でもまだまだ空は淡いピンクのまだら模様。
その日は7月4日をあさってに控えていた。はからずも、2014年に入って一番の猛暑日となった。

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“コミュニティデザイン”とか、“コミュニティ学”などと、学問や経済、ソーシャルな側面などから語られるコミュニティ。この漠然とした傾向と概要を、じっくり考えるでもなく、頭のなかで浮遊させてきた。泳がしていたら何かにたどり着くような気がしていたのだ。そのことについてまた今度、書こうと思う。この日の夕暮れ前の数時間は、夏の始まりとわたしの頭の中に起点となるフラッグを立てた。

海辺の街で向かえた7月4日。2軒となりの家でナイトムービー。酔っぱらって見逃してまった。

海辺の街で向かえた7月4日。2軒となりの家でナイトムービー。酔っぱらって見逃してまった。

 

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