ポートランド通信 7

11.20.14 瀬高早紀子

夏のこと、もっと書こうと思っていたのに秋も終盤。冬に片足以上、突っ込んでいる様相です。こちらに来て、まる3年。2011年の秋に旅立ったので無事、4回目のハロウィンも終え、ようやくあのお祭りムードに自分がどう対処すべきか、おおよそわかってきたところでもあり。慌てず、動じず、憚らず。仮装して街を練り歩く、その一歩を踏み出せない自分も受け入れつつ、いつも通り、スーパーラストミニッツに飾り付けをすまし、カービングは家人らにまかせて、世の子どもたちを迎えることに徹しました。

3年以上、自分がここにいるとは想いもしなかったな、それにしても。1、2年、ポートランドにいたら東海岸へと横断、ヨーロッパ、中東、東南アジアまわりで旅をしながら日本に帰ろう。
帰国したら、どこの田舎に住もうかな。
え、長野のどこかで100万以下で家が買えちゃうの?!
駅から徒歩150分って、もっと気の利いた表記はないの?!
なんてネットと会話しながら妄想旅行をしていたのも束の間、わたしはケッコン、というものをしてしまった。

1回目のケッコン式は(そう、わたしたちは諸事情により、合計3回やる予定である)、相方のコーヒーショップでスタッフが神父になってやるというもの。にわか神父は指定のサイトへと行き、30ドルほど払って、資格をとった。なんと神聖なこと! 日本からは郷土の酒を持参してもらって三三九度もどきで誓いの宴。指輪の代わりに一輪の花を交わした。ポートランドのフラワーマーケットに朝一で出向き、母がいけた花瓶からユリを拝借した。

そんな話はまあいい。
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そのコーヒーショップウェディングの前々日に、アラスカから西海岸縦断を目指して自転車の旅をしているマサくんが突如、やって来た。雑誌で見かけた相方の記事(自転車だけでコーヒーの宅配をする)を頼りに、はるばる会いに来てくれたのだ。自転車で旅をしている人は世界中でみれば少なくない、とマサくんはいった。現にわたしもポートランドの旅の途中でそんな人たちに出会っている。そこは自己達成の目的が多くを占める(もちろん、出会った人々には何か特別なものをもたらしてくれる場合も多々)。しかしマサくんがやろうとしていることのひとつは、自転車旅だからこ
そ出会える、この世界のおもしろい人たちを日本の子どもたちにスカイプなどで中継しながらダイレクトにつなげるということである。車ではなく子どもでも乗れる自転車という乗り物で移動するということは、子どもたちと同じ土俵に立っているということであり、また子どもたちへの尊敬を表しているようにも思えた。上から目線でがんばれ、すごいだろ、って言われるよりは、はるかに説得力があり、感覚でしか実感し難い8時間と言う時差や太平洋の広大さを超越して、マサくんを介したこの幾重にも広がるひとつの世界がリアルで身近な存在になるのではないだろうか。

ここ一年、旅人を、迎える側にいる。もともと、旅不足でショートしそうだった生活からの脱却をはかっての一時的渡米も一理あったが、こういう状況になってしまった今、また旅に出たい病が発作的に表出している。表れてはどこかに潜めていくのは、逆説的に、そんな旅人に会うことによってでもある。慣れてしまった風景と、自分の目の節穴からこぼれ落ちてしまったものたちを、取りこぼさないようにほら、と差し出してくれるのはたいてい旅人である。

それはシャワーをあびながら思いついて誰かに話そうと思っていたことや、思考のクセ、フレームに定めた自分自身などでもあったりする。

たまにポストにくたりと横たわっている手紙が、いわゆるシンクロニシティを起こしていたりすると、その手紙自身が、差出人の分身となった旅人のように感じることある。いやこれ、本当に。それくらい、書かれた文字が核心をついていたりする。年々、どこに行くかと同時に、誰に会いに行くか、どんな出会いが待ちわびているのか、が自分にとっての旅の醍醐味と気づいている。迎える側の旅人も、そう悪くない。

マサくんは、急遽、自転車のユニフォーム姿で、ケッコン式に陳列してくれた。カメラマンとなり、わたしの両親の通訳にもなっていた。いつの間にか想像以上に彼らのあいだでは盛り上がっていたらしく、マサくんは日本での講演の合間を縫って、わたしの実家にまではるばる訪ねてくれていたそうだ。社交辞令が通じない人たちだから、本当にマサくんが会いに行ってくれて、心から感謝している。大学在学中にハマったひとり旅から、そのまま自転車冒険家になってしまうなんて、うちの親からしたらドラマのなかの出来事であり、当の本人の親だったら、さらに理解の域を超えていたはずだ。それが10年前だったら。いまやマサくんの第2の親のような存在となっているようである。

マサくんの愛車に興味津々な人たち。

マサくんの愛車に興味津々な人たち。

自転車冒険家のマサくんこと西川昌徳くんのサイト。これから東南アジアだって!

http://www.earthride.jp/

わたしたちが出会った1月の様子はこちらから。

http://ameblo.jp/masanori0615/archive3-201401.html#main

そして、最近の暮らし

とある自然のなかの学校

とある自然のなかの学校

ここに暮らすふたりについてもまた今度

 

とうふ丼と大根サラダにプチパンのっけ。ダイナミックなのこりものナイト。

とうふ丼と大根サラダにプチパンのっけ。ダイナミックなのこりものナイト。

MISOづくりのしたく。関係ないものもまぎれていますね。

MISOづくりのしたく。関係ないものもまぎれていますね。

 

ポートランドで北欧ランチ

ポートランドで北欧ランチ

 

ポートランド通信 7」への1件のフィードバック

  1. さきこ?!
    千夏だよ!
    ポートランドに居るんだね!一番行ってみたい街だよ!素敵だね!
    楽しく通信拝見してる!たまたま見つけてびっくりだった!

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