11.28.14 瀬高早紀子
タイムリーな話。
先日、オレゴン州ではマリファナが合法化され、GMO(遺伝子組換え食品)レーベルの義務化は可決されなかった。
ほかにも色々、論点はあるが、注目はこのふたつ。
マリファナは合法化する以前に、もはや合法かと思うくらい簡単に手に入っていた(ようだ。というのはわたしには吸うこと自体にあまり興味はないが、代替療法などには関心がある)。ネイバーフッドによっては、または、時間帯、パーティーなどのシチュエーションによっては、あの臭いがいつしてきても、おかしくないし、誰も咎めない。バスに乗った瞬間、「もう昼間っから誰だよ〜」とあたりを見渡すくらい明確なこともある。それが今さら、という感もなくもないが、合法化によって人々の反応がさまざまでおもしろい。
警察はもうこまこまと取り調べる必要がないからもっと重要なことに時間をかけられる。精神安定などには下手な薬よりいい。ましてやタバコよりもずっと。堂々と売り買いできることで、経済が潤う。州の法律ではあるが、さらに市独自の法令もあるので、また画策具合がいろいろ。ある市では、40%もの税金をかけるという。平均では、嗜好品の場合10% ,医療目的なら5%といったところ。この法律が実際に施行されるのは来年の7月からなので、それまでの間、また耐えず物議を醸すはずである。
ちなみに、この結果に伴い、地元新聞でマリファナがもたらす影響についてよくわかる映画トップ10というコラムを特集していた。おー、愛すべき、オレゴン。
遺伝子組み換えについて、もちろんその案には大賛成だが、法律の内容がまだまだ未熟で検討の余地ありだから、という視点で投票しなかったという声が身近では多かった。GMOか否かを実証する方法が不明瞭なのだ。これはオーガニック食品にもいえることで、オーガニック認証をとっていないもののなかにも、オーガニック的農法で育てられたものは多々あるということが問題なので、単にオーがニッック食品を買っているだけでは、ローカルの小規模農家を支援する結果にはならず何が目的なのか無明瞭になりがちでもある。
結局、今の仕組みはお金とパワーがあるところがオーガニックという看板を掲げることができ“やすい”ようになっている。ファーマーズマーケットなどで、農家の人たちと話すとそれが直にわかるし、認証はひとつの基準でしかないと思えてくる。わたしたちが野菜や卵を買う農家は「農薬も肥料も使っていないが、オーガニック認証をとることにこだわっていないというし、できる限り、手頃な値段で売るためには認証取得にお金をかけているほど余裕はない」という。熱心なキリスト教信者のそのぽっちゃり母ちゃんファーマーは、それが神からの使命であり、神へお返しできることだと思っている、と笑う。よくそういう流れの話になるたびに、つい彼女が愛用するタイダイTシャツに引き込まれてしまう。
要は、GMOのレーベル貼り付け化も、まだまだ抜け道と、徹底度が足りないうちに始まってしまっては、結局、NO GMOを取り巻くビジネスで金儲けが生まれるだけで、地道に小規模でやってきた農家の負担をさらに増やすことになり兼ねないというのが一理。たしかにね。
アメリカで選挙権のないわたしにはそれを聞いて実際に投票に反映できるわけではないが、日本だったら議会でいつの間にか、決まっている、なんてことも茶飯事のシステムに比べたら、今回の合法化もさることながら、この直接投票制はかなり革命的だ。前に市の職員の方に、ポートランドは市民の声と議会のリーダーシップの連動が他にはないほど強い、と聞いたことがあったが、その言葉を実証するようなできごとでもあった。