4.17.15 石井 文得

アリゾナのフラグスタッフあたり。
はるばる戻ってきた。
NYに着いたのは4月1日。
アメリカ縦横に往復して、太平洋は飛行機で渡って日本にも寄って、ぐるっとまた戻ってきたNY。海外に出ると全く違う角度で母国を見ることが出来る、と良く言うけれど、NYもそうかな。
13年暮らしたこの街。でも、自分の街と言う気はしない。2年前に別れを告げ、なんだか過去の恋人と会うように、いろいろなところを通った延長ラインで又ここに戻ってきて、ブルックリンに住んでいた日々が遥か遠くに感じる。
自転車をポートランドに置いてきた今となっては、好きな音楽を聴きながら、都市の孤独さを堪能しつつ人混みを早足で歩く。NYってそんな街。田舎ののんびりさも勿論心地良いけれど、それでも頻繁に姿を変えるこの街のペースも、本当はこの速さに慣れていた自分に合っているのだろうか。
旅を始めてから、というかモバイル生活になってから8ヶ月くらいが過ぎた。
四季がはっきりがあって文化的と思い込んでいた東側。アメリカ中を廻ってみて、他にもそれぞれ素晴らしい場所に出会えた。それに、長い冬にはもう勘弁、、、。
私は、家族が住む日本に近い、寒くならない西海岸にいずれは移住したいと思う。落ち着いたら。でも、未だどこが良いか決まってないし、いつ定住するかも定かではない。
NYに戻ってきたのは、数年通っている税理士さんの所へ納税のために行くのと、ハドソンの倉庫に置いたままの荷物をそろそろ整理しないと行けないと思って、4月の初めに戻ることにした。プラス友人がNY郊外に空家があるのでそこで住んで良い、ということで、この春夏はこの辺りをベースにすることになった。世界中にはうちの祖母の家も含め、空いている家は沢山存在して、この旅でもたまにちょうど空いている家に招かれ、お世話になって移動してきた。
今回のNY帰郷に合わせ、ブルックリンとクイーンズでコンサートを2つ開いてもらった。前回のBKでのコンサートがワースト#1に今でも君臨するので、なんとか久々に見る音楽/アートの人達の前で小さくても錦をあげなくてはと、、、。

Excepter 中央、トールバイクの自転車仲間でもあったPork Chopさん。カッコいい!
ブッシュウィックから更に奥へ行った(といっても、マンハッタンを中心にして)クイーンズはリッジウッドにある、all ageがウェルカムのTrans Pecosというベニュー。かつてはSilent Barnといって、私もSilver Applesや名前は忘れちゃったけれどいろんなバンドを自転車遠くまで走らせて見に行ったものだ。それが今では、おしゃれなロフトにできたピザ屋さんが近所にあって、シックな服を来た大人達が、グループで食事をしてにぎわったりしている。ワオ!ここまで来ているんだね。
この日はうちのバンドも含めて5つのグループ。大学時代に好きだったGastr Del SoloのDavid Grubbsのソロギターもあって、そして、やった!Excepterも一緒!音も勿論そうだけれど、ビジュアルも斬新で、こんな風に撮影したいなぁとか、昔勉強していた時代もあった。
なぜ5つもやらないと行けないんだろう、と、キューレターの人に質問したいが、私達の演奏が無事終わったのが、深夜1時前。最後のExcepterが始まったのは、よくわからないけれど、彼らを見慣れているローカルのお客さんや友達は殆ど帰ってしまって、会場に残ったのは10人程度。
それでもベテラン音楽家/アーティストは、お客なんて関係なく、レベルの高いパフォーマンスを繰り広げ、彼らは本当にハイアート!なんだかすごく怖いのとハッピーな音の共存でわくわくが続く。NY戻ってきて良かった〜、って、こういう瞬間にしみじみ感じる。
そして帰宅朝の4時。
9時半消灯、朝5時起きの農家生活が恋しい、、。
そう。EST(東海岸時間)に戻ってきて嬉しいのは、早起きしなくてもDemocracy Now!の生放送がストリームで見られるのと(西海岸だと朝8時放送は5時になる)、ここに住む友人達と簡単に合えるということ。でも、結構皆やはり忙しいんだな。
たまに一緒にお仕事させてもらう市川さんのマンハッタンアパートメントに、猫のお世話で10日間滞在させてもらった。
リトルイタリー/チャイナタウン。最高におしゃれしている人達と、下町の様なチャイニーズのおじちゃんおばちゃんが混ざる、不思議な空間。
ロケーションの便利さにかまけて、この数日間連続、チャイナタウンで友人と待ち合わせでランチをした。NYに住んでいる時は、自転車でいろいろなところに自分から友達に合いに行ったけれど、久々のゲストとなると、近所まで合いにきてくださるものだ。
いつもながら自転車でやってきた長年の友人Aと、すぐそこのレストランで北京ダックヌードルを食べる。

Aの彼女の父が言うには、チャイナタウンのレストランの食材ルートを知ったら、絶対自分はここでは食事しないだろう、と。今更言わなくても、、、。でもごもっともかな。
どうしたらこの資本主義と提携せずに、アートをやっていけるか。という談義。彼は、ソーシャルネットワークもやらず、大嫌いなテレビの仕事をたまにしながら、休みの度にアメリカ中をいろいろ廻り、作品を作り続け、各地で友人達とともにアートやジンを売ったりして頑張っているようだ。
「それにしても、都会で暮らすのはとてもストレスフルだ。一緒に暮らしている彼女とも、NYの外に出れば二人とも幸せなのに、ここにいるとどうしてもお互い自分のことで精一杯で、大切にすることを忘れてしまう。難しいリレーションシップ問題。だから、友達が移ったアッシュビル(ノースカロライナ)に移るかもしれない」
と。長年NYで遊んで良い年頃になってきた人にはありがちの傾向。ー自分がそうか。
A!私は賛成!
「でもこんな美味しい仕事は見つけられないだろうし、、、」
と。A!そんなにずーっと前から大嫌いといってる仕事なら辞めれば良いのに!移ったらなんとかなる!
と、私は思う。
私も長いこと、辞められなかったマンハッタンでの仕事。でも実際辞めたら何とかなった。新しいことが生まれた。そして、この状態をキープアップするために、頑張り続けないと行けない。

アッシュビルで開催されたミュージックフェスティバルの時の様子。
アッシュビルへはこの行き帰りで2回訪れた。東側のポートランドとも言われる町で、山あり、谷あり、川あり、滝あり、素敵な音楽家あり。台所には生ゴミは堆肥ようにバケツへ、有機栽培の野菜は当たり前、若者も含めハーブや農業に詳しい人々が沢山いる。素敵な自然との共存したコミュニティー。音楽シーンもなかなか良い。
ハーベストレコードが運営する音楽フェスティバルに去年の夏に呼ばれ、先月はもう一度、新しい曲も沢山出来たので、違った形での音楽/詩を披露しに、数日間レコード屋のオーナーのマット宅に泊まらせてもらいコンサートを行った。

庭で弓矢の練習を行うマット。狩猟様ではなく、あくまで的を射るために心身ともの訓練として行っている。

マットはこの庭に畑も耕し、野菜や花の栽培も楽しそうにする。Dに弓の指導をするマット。そしてレコード屋のオーナー。
街の外に出ると、人々に余裕がある。

ワシントン州オリンピア近郊の野鳥保護地区公園
* * *
チャイナタウン界隈をふらふら歩くと、とても良いアートを見つけた。何回もこの道を通ったと思うけれど、初めて目に飛び込んできた絵。
自分の絵にも似てるから、素人でも楽しんで描いてるという様子が伝わってきた。
何回かこの場所に戻って、アーティスト超本人に会えた。この靴の修理屋さんのおじさんがアーティストだった。修理屋さんとしても、NYタイムスに載った程、優れた人みたい。
写真は嫌いだから、っておばちゃんに英語で言われたから、無理して撮らなかったよ。こうやって近所の人とくつろぎながらの職場。ボスがいない会社。雨でも雪でもここに座って修理をするのかな?春になって良かったね。

この第二次世界大戦の銅像、チャーチル、ルーズベルト、スターリン、、、。
この絵を見ていたら、何年か前にブルックリンで通り過ぎた時に見かけたアーティストのおじさんのことも思い出した。鏡やガラスに絵を描いていた。いい味!
この二人がショーを行ったら、とっても素晴らしいだろうな。私も入れて欲しいなぁ。
ということで。
NYより愛を込めて。

この霊芝、今度買ってみようかな、、、。

1時間マッサージ32ドル。あぁ、、、マッサーーージーーーーー。