London通信 3

5.18.15 伊藤さおり

 

O Avocados, I think of you every day
You were so plenty, but now so empty
I know not to expect too much

You traveled long way, to become your fullness
was I squeezing you when I was just feeling you?

I know how beautiful you look on your tree
I know how beautifully you reach your fullness thee

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39歳の春。アボカドとの関係にここまで感情移入することになるとは予想もしていなかった。長かったような短かすぎたような、構想6ヶ月足らずで、ロンドンのドルストンにカフェ”SKYLARKING”をオープンした。

出 戻りした第2の”故郷”、ハックニー。ドルストンはハックニーのエンターテイメントセンターで、アーティストやその毛のある人達が多国籍でアングラな環境 を求めて80年代から移住し、メインストリームではない多国籍で個人経営のエンターテイメントベニューを中心に進化し、その頃は安全とはまったく言える環 境ではなかったものの、ライブハウス、ジャズクラブ、映画館やシアターなどが盛んになり、ロンドンの現代アートと音楽の発祥地の一つとなった。

 

駅前のDalston Eastern Curve Garden

駅前のDalston Eastern Curve Garden

 

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実は昔はスクワットで、私も99年から2001年までイリーガルパーティーに来ていた。今となっては立派なコミュニティーガーデンだ。

 

私がハックニーに住み始めた2006年には、こちらのテレビでイギリスで一番望まれない生活環境の区の一つとして選ばれたものの、2009年にはイギリスで一番ヒップな場所として選ばれ、E8という郵便番号がブランド化し高級化が爆発的に起こり、2014年には新聞(Sunday Times)でロンドンで一番住みたい街に選ばれ、近年ではチャリティー系やクリエイティブ系のオフィスやフリーランサーようのスタジオも多く、様々な人々が毎日行き交う。

Bradbury Street 日当りの良い角を陣取る私たちのカフェ。

Bradbury Street 日当りの良い角を陣取る私たちのカフェ。

そんなドルストンの駅から徒歩1分。Bradbury Streetは雑踏としたメイン通りから一本入った道で、その先に教会が見えるのが気に入った。このストリート上には、今まで地元にずっと住んでる人達や経営者、高級化が進んでから引っ越して来た人達と経営者、人種も階級も文化も良い意味でごっちゃに肩を並らべる。レコード好きなDJや音楽通に人気のヴィンテージレコードショップ宝庫eldica、創造的な食のクオリティーを追求している高級化系のフュージョンブリティシュとインディアンのレストラン、ナイジェリアンのママが作る家庭料理屋、ポップな雑貨屋さん、トレンディーなバー/ライブベニュー、アフロカリビアンの床屋さん、クロコダイルやオーストリッチ、シマウマまで料理に出しているライヴジャズバー(の主人は双子3組(全部男)+2人の子供の父親)そしてドッラクと売春の取引をしてる人達や、区が補助している元受刑者の住まいも同じ通りに共存している。
そんなBradbury Street近辺が長年プレイグラウンドだったネパール出身の本職ミュージックプロモーターのシュバ君に、ヒマラヤから有機栽培、フェアトレードのコーヒーを直輸入して、モモ(ネパールまたはチベットの餃子)を出すカフェを僕の第2のホーム、Dalstonで始めたいがパートナーにならないか?と話が来た時、ノーとは言えなかった私の気持ちは私は良く分かる。

2月カフェパートーナー達と内装開始

2月カフェパートーナー達と内装開始

 

親友のカチャが自分のデザインの壁紙を自ら張りに来てくれた。サポーティブな友人達がいなければ本当に現実に至らなかった!

親友のカチャが自分のデザインの壁紙を自ら張りに来てくれた。サポーティブな友人達がいなければ本当に現実に至らなかった!

 

夜中に書きあげて、スペルが間違えていたメニューボード。後から常連さんや友人に、”気付いてたなら言ってくれれば良かったのに〜!”と言うと、いや、ドルストンからスペル間違えが消えたらドルストンは終わりだ。そこがまたチャームなんだから!と言われて、やっぱり普通に間違ってもそれでハマっているから良かったのだと苦笑い。ジャパニーズ/ネパリーズ/ドルストンフュージョン。

夜中に書きあげて、スペルが間違えていたメニューボード。後から常連さんや友人に、”気付いてたなら言ってくれれば良かったのに〜!”と言うと、いや、ドルストンからスペル間違えが消えたらドルストンは終わりだ。そこがまたチャームなんだから!と言われて、やっぱり普通に間違ってもそれでハマっているから良かったのだと苦笑い。ジャパニーズ/ネパリーズ/ドルストンフュージョン。

 

いつも偶然のラテアートを読んだりする。こちらはフェザーラテ♡

いつも偶然のラテアートを読んだりする。こちらはフェザーラテ♡

 

ホリデー気分を味わえる日向のランチタイム

ホリデー気分を味わえる日向のランチタイム

 

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餃子ではなく、モモ。

餃子ではなく、モモ。

 

  有機栽培の緑茶、玄米茶、抹茶ラテ、フレッシュジュースやオリジナルのオーガニックミックスハーヴティーもやっている。


有機栽培の緑茶、玄米茶、抹茶ラテ、フレッシュジュースやオリジナルのオーガニックミックスハーヴティーもやっている。

 

かけている音楽は、ジャズ、ダブ、レゲエ、ソウル、ファンク、フォーク、サイロック、エレクトロニック、クラシック、クラシカルインディアン、ヒップホップ、地元のミュージシャン、ご近所のNTS radio、Huggerston Radio、各種ビンテージレコードからエチオピアンブルースまでミックス。

 

Ridey Road Market

Ridley Road Market

卵、牛乳、季節の野菜は国産有機栽培のモノを仕入れている。他の野菜や果物の仕入れはカフェから1分のRidley Road marketより。
1880年代に開設したRiddley marketはロンドンでも歴史の深い多国籍色の強い地域のマーケットで、アジア人、ギリシャ人、トルコ人やジャマイカン、その他の西インド諸島からの人々とワーキングクラスの英国人などのミックスで、何処の国にいるかさっぱり分からない感じがこのマーケットの特徴。イギリスで1985年から続いている連続ドラマ、イーストエンダーズの元となった舞台の一つでもある。そんな中、みんなで共存している。

 

大人気のパキスタンの手焼きナンブレッド。

大人気のパキスタンの手焼きナンブレッド。

 

このショッピングセンターには実は入った事がない。

このショッピングセンターには実は入った事がない。

 

  リドリーロードマーケットで発見。このTシャツを着ている事にたいしての躊躇のなさがカッコイイ。


リドリーロードマーケットで発見。このTシャツを着ている事にたいしての躊躇のなさがカッコイイ。

 

何するっていっても、とにかくカフェですから、と修行のようにノンストップで働いてしまった。セラピストの仕事も絵や文章を書くのも中断して、とにかくカフェの実現化にエネルギーをそそいだ。飲食業って都会の農民になるようなイメージで、ハードワークだけど、手応えがすごくある。お客さん達とのエクスチェンジは元気を与え合う感じだ。

 

  アーユルヴェーダの’ゴールデンミルク’はヘンプミルクバージョンで。


アーユルヴェーダの’ゴールデンミルク’はヘンプミルクバージョンで。

 

自然治癒を理想とする私にとってFood As Medicine っていう言葉が頭にある。料理するときの心持ちとか。ベーダでは怒って作った食事は毒になると言われている。怒ってるっていう状況自体が身体に悪い。
食べた後にアップリフティング(上機嫌)になった様子を見ると嬉しくなる。生姜シュース入りのダークチョコをとかしたホットチョコレートを飲み干したお客さんに、いや今日本当最悪だったんだけどさ、これは本当に薬になったよ、ありがとう。と初めてカフェで言われたのはオープンして1週間目くらいだった。あの時は嬉しくて涙がでそうになった。すぐそんな自分に感情移入する自分をまた冷静に観察したりする。
ありがたい事にカフェとして成り立って来たので、他のクリエイティブな広がりの可能性もやっと見える余裕ができて来たところだ。
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それにしても、こんな事してみたいという妄想から本能と直感で実現する事が多いが、その裏には、いつも何か私が学ぶべき大事な事がくっついてくるものだ。そんな貴重な経験にまずは感謝。

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