ロンドン通信4

11.7.15 伊藤さおり

南イタリアに招待された。
 
 
前回のブログで紹介した今年の春にオープンしたばかりのカフェを、早々と相方に買収してもらう事になった直後だった。
自分が生まれて初めて訪れる場所を、その故郷を心から愛している人に案内してもらうのは初めての事ではないが、私にとってそれはいつも特別で貴重な経験だ。
 
 
都会育ちで第二の故郷はロンドンの私は、その地の寛容で寛大な自然と、招待してくれたミュージシャンのAとその土地と自然との繋がりに毎日胸をズキズキさせられる事になる。彼のその地への愛を感じ、愛おしく羨ましくも感じる。そしてその優しい自然の気前の良さにすっかり包まれて調和されてしまう。全ての生命の源、自然との繋がりは私の遺伝子が確かに覚えているようだ。
 
 
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そんな事を感じていると、その時読んでいた本からこんな文章が目に飛び込んで来る。
 
 
“Inner self of all human being is remarkably similar, and outer self of all human being is remarkably varies.” 
 
『全ての人間の自己の内面は著しく類似しており、全ての人間の自己の外面は著しく相違している。』
 
 
古代文明の第三の目の知恵と、現代深層心理学が共通したアイデア。人間的な美徳を通して繋がった意識は、国籍、生い立ち、年齢、性別、性指向、見た目やそれに伴う偏見などを超越したところで存在する。
 
 

私達は日々決断を迫られている。自分の人生を生きていく上で何を優先していくかという決断。自分の外面と内面が調和して繋がって、自分のやるべき事をして、自分の居るべき場所で、一緒に居るべき人達と、お互いの内面を理解し合って、同じ目的を持って、調和して生きているという確信を当たり前のように日々感じながら生きる事は、個人主義な価値観や、資本主義によって賞賛される競争社会の中で意識下がマスメディアに影響された人間界ではすっかり複雑になってしまったようだが、グッドニュース!は、それは不可能ではないという事。特に最近もっとそれを感じている。

One of the world's last uncontacted tribes. © Gleison Miranda/FUNAI/ www.uncontactedtribes.org ブラジルのアマゾンに独立して生息するUncontactedTribe。世界で100部族ほどの生息しているUncontactedTribeはメインストリームの社会から独立し、環境と調和しながら平和に生息しているが、現代人が介入すると伝染病で半分の民族が死亡してしまう例もまれではなく、現代社会による侵略後の存続は皆無とされているが、違法の密林者や大手石油会社により彼らの森林は介入され生息を危うんでいると、世界中のアクティビストがその保護を訴えている。

One of the world’s last uncontacted tribes. © Gleison Miranda/FUNAI/ http://www.uncontactedtribes.org ブラジルのアマゾンに独立して生息するUncontactedTribe。世界で100部族ほどの生息しているUncontactedTribeはメインストリームの社会から独立し、環境と調和しながら平和に生息しているが、現代人が介入すると伝染病で半分の民族が死亡してしまう例もまれではなく、現代社会による侵略後の存続は皆無とされているが、違法の密林者や大手石油会社により彼らの森林は介入され生息を危うんでいると、世界中のアクティビストがその保護を訴えている。

 
5千5百万年以上もの間、自然と繋がり調和して平和にサステイナブル(継続可能)な狩猟生活をしてきた彼らにとって、工業化や文明化の必要がないのは目に見えている。彼らは地球上で最後の『自由な人間』と呼ばれている。
彼らも人間。このコンピューターのスクリーンを見ている自分達の内面と著しく類似しているだろう彼らの内面を熟考してみる。愛、信頼感、親密感、連帯感、個人のユニークな才能への敬意によってうまれる個性への寛容さ、毎日食べれる事への感謝、自然と宇宙と自分の接点に存在する時間の概念などなど。
 
 
競争社会の歪みによって無機能になった核家族からの影響を受ける『Vulnarable』(弱者)は子供達で、女性の権利が先進国で一番低い事が世界でも有名な日本国では、特に自己価値を失った女子が自己破壊的な行動への依存を促す大人達によって悪用、商品化(売春)されている事が海外の人権保護団体によっても懸念されている。ロンドンで初めて保護されたホームレスの日本人女性の通訳をした事があるが、彼女は家庭内暴力から逃げても逃げても日本で保護してもらえず、遂に国外に脱出したとの事。
 
 
現代文明の葛藤と模索の中から生まれた文学、科学、芸術、哲学が複雑になった人間達の思考に語りかけるのだが。私も18歳の時イギリスに行きたい!と心に決めたのは、イギリスにはもっと女性の権利と表現の自由があるよう直感的に感じたからだった。ダニーボイル監督の映画『Trainspotting』が決めてだったのを覚えているが、今から考えてみるとあれはドラッグのエクスペリメントへの興味だけじゃなく、初めて見た女性がリードするセックスシーンが女性上位のイメージを発していたからだ。もちろんイギリスに住んだからといって『Uncontacted Tribe』のような自由がある訳ではないが、人権保護の体制と男女平等の意識はもっと行き届いている。
 
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“Look deep into nature, and then you will understand everything better.” – Albert Einstein
『自然を深く観察してごらん、そしたら全てをもっと理解できるよ。』
 
 

オリーブの収穫とオリーブオイル作りにも参加させてもらった。櫛でオリーブの木の髪(枝と葉っぱ)をとかすような作業で実をポロポロと下に張ったネットの上に落としていく。『木も喜んでるよ。』と励まされると『うん、確かに、こんなにたわわになっていて重そうだし、木が喜んでるのが伝わってくる感じがするね。』と返事をして、さらに黙々と作業に熱中する。この地域で2500年以上行われてきた歴史的な作業を黙々と共にする時、また私の遺伝子が覚えているようなデジャブを感じる。自我もすっかり黙り込んで、ご褒美に確実に近づいているのことを感じながらオリーブの髪をとかす作業に没頭する。

未来に起こるこの素晴らしい時間との別れが頭を横切るたびにそれを忘れ、目の前の事だけがくもりのない現実として子供のように過ごす日々。海で泳ぐたびに身体が強くなっていくのを感じる。
この地域には国立公園も多く、オリーブはすべて有機栽培。

この地域には国立公園も多く、オリーブはすべて有機栽培。

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サンタ*マリア

サンタ*マリア

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ギリシャ文明の遺跡、海の神ポセイドンの町

ギリシャ文明の遺跡、海の神ポセイドンの町

思いがけず授かったカンパニアでの時を過ごしてロンドンに帰って来ると、カフェを失った現実はひと世代も昔の事のように感じる。
 
 
カフェ中に休止していたセラピストの仕事への依頼がたて続けに入ってくる。私は常連のクライアントさんや友人とセッションする時、確かにやるべき事を居るべき場でしているという確信を持てる。じゃないと自分にも相手にも失礼じゃないか。
 
 
今年もロンドンの秋はグレーの日が続いていて今日も完璧な曇りだが、私の内面に入っていくと壮快に晴れている。この文章を書きながら『Uncontacted Tribes』のように、いつ介入されるか分からないけど、今は私の内面に存在している自由を感じる。それだけで今は満足だ。

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