7月吉日
石井 文得
夕方、陽が傾いてから、裏庭にブランケットを敷いて、Fとピクニックをした。
午前中にDが雑草を刈りこんだので、あれだけ満開だったたんぽぽの花達は、もう姿を消されていた。替わりにクローバーの葉をひとつひとつ摘んでFに渡すと、彼はそれを宝物のように喜んで、短い時間だけどとても大切にした。健気に咲いていたバターカップの花を見つけると、それを離さず、両腕をぴょんぴょんさせてバランスをとりながら、ブランケットの外にある草に手を伸ばそうとする。
ふと空を見上げると、とても大きく感じた。
ポプラの葉がざわめき、薄いまだらな雲が薄水色の宙に広がる。私はこの瞬間を絶対忘れない、そう思うと、この瞬間の刹那さに打ちのめされて、涙がでた。
空が大きく感じたのは、高層の建物が周囲にないからと、背の高い木がちらほらと私たちに挨拶しているのと、あとは自分の存在のちっぽけさを改めて感じたから。
昨年子供が生まれてからワシントン州のオリンピアという町に移った。
この土地での生活のジャーナルを再開します。